21世紀的百物語素描

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【はじめアルゴリズム】数学と音楽の関係について

 

以下の投稿では対蹠概念を援用して「プラトンの立体=正四面体(Regular Tetrahedron)、正六面体(Cube)、正八面体(Regular Octahedron)、正十二面体(Regular Dodecahedron)、正二十面体(Regular Icosahedron)」概念に「±の符号概念を有する開数直線(Open Line)」概念と「厚み0のコイン状の2面体(Dihedral)」概念と「もはや直径の概念が原則として成立しない1極球面体(monopolar sphere)」概念を追加しました。とりあえず、差し当たって「プラトンの5立体」にちなんで「拡張8立体」とでも呼ぶ事にしましょう。

数学ではこういう話を「局所的にユークリッド空間とみなせるような空間」多様体(Manifold)概念で扱います。「部分的には設定可能=全体に接定可能な保証はない」ですから、上掲の1極球面体概念と重なってくる訳です。

第4章 多様体の基礎のキソ

以下エロ注意…

という事で「はじめアルゴリズム」…

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とりあえず音楽で使われる音階は「1オクターブごとに周波数が倍となる12音(全音8個+半音4個)」で構成されています。従って各音程は2^n+log_{12}(\frac{0-11}{12})で表せます。確かにこれなら何らかの形で数理演算設定が可能そうに思えます。

同じく数学的表現方式で我々が馴染んでる十進法を表すと…例えば3桁+小数点下2桁の場合以下の様になります。

10^2a_3+10^1a_2+10^0a_1+10^{-1}a_{-1}+10^{-2}a_{-2}(a_n=0-9))

そして16世紀から17世紀に掛けてab=c^{log_c(a+b)}(乗除算は対数化すれば加減算に置き換えられ、その後の指数化によって欲しかった答えに辿り着ける)なる数理が発見され、底c=10の場合について、その変換を行う常用対数表が作成されました。

この考えが、それまで商人が用いてきた複利計算法と結び付けられ「加法群と乗法群を直交させる魔法の底」ネイピア数e(2.7182818…)が発見されたのです。

こうして数学の世界は次第に「(加減算の原理で動く)加法群の世界」から「(乗除算=指数対数の原理で動く)乗法群の世界」へと推移。当然(最初から対数演算が入っている)音楽論と数学の関係も、一層深まってきた訳です。

「統計革命」のさらなる向こう側

話をややこしくするのが19世紀から20世紀に掛けて起こった「統計革命」の概念です。

  • 上掲引用で言及した「1極球面体(monopolar sphere)におけるn次元対角線の次元数増減に伴う変化量yを求める演算y=\sqrt{n}=±n^2は、等加速度運動や熱伝導計算の際に遂行する物理計算と重なってくる。
    熱方程式,Fourier 級数,Fourier 変換,離散 Fourier 変換,etc.
  • これに注目した数聖ガウス(1777年~1855年)が「小さな誤差ほど比較的観測され易く、大きな誤差ほど比較的観測され難く、従って、一定以上の誤差を切り捨てる事によって観測精度(Observation Accuracy)を確定する事が出来る」天体観測上の誤差も同じ計算で扱えると考え「誤差関数(ERF=ERror Function)」の概念を発表。
    elf=\frac{2}{\sqrt{π}\int_{0}^xe^{-t^2}dt}

  • ところがこの考え方は生産の現場や生物学や社会学の分野での統計にも応用可能と判明。莫大な計測結果に基く実証によって従来の「物事にはそれぞれ(神が先験的に定めた)固有の確率が存在する」なる既成概念が破られ、統計学における正規分布概念を基礎付ける事になったのだった。

ここまでが19世紀から20世紀に掛けて進行したいわゆる「統計革命」の内容。いかなる分布もサンプル数(=次元数)を無限に引き上げていけば本来あるべき分布(正規分布)に回帰していくという考え方です。ところが21世紀に入ると情報意味論分野で新たなる革命が起こりました。セル数(詳細は不明だが「対象が猫である確率」やその判定に用いるパラメーター数などの計算単位=枡目の事?)が2^{10000}=10^{30}を超え脳細胞数に近付くほどパフォーマンスが上がるTransformer系AIの登場がそれです。その背景にはインターネット普及に伴う「学習可能な」データ量の爆発的増大があったのです。

何が衝撃って、これまで分布意味論などが扱ってきた「ことばの世界」は上掲の表現でいうところの「局所的にしかユークリッド座標系が設定出来ない」多様体構造そのもの。まさにその性質こそが博物学本草学の時代からルールベース推論型エキスパート・システムに掛けて試みられてきた「(理論値との残差を最小限とする)全微分」の壁として立ちはだかり続けてきた訳ですが、これを迂回して「(サンプル数増大によって全てが単一の分布に回帰していく)正規分布の世界」の手前に新たな数理領域が発見されようとしているのです。

現段階ではこの発見が人類にとって「世界の根本に美と調和があるという夢から醒め」ある種の最終局面に到達してしまう事を意味するのか、はたまた新たなる視野を獲得し広大な未知の新天地に改めて挑み直す事になるのか、それさえも分かりません。我々が生きているのはそんな時代なのですね。こうしてそれなりの形で問題構造の全体的俯瞰が成立した時点で以下続報…